金利優遇などお得に!環境配慮型住宅ローンや空き家関連ローンなど、時代のニ…

金利優遇などお得に!環境配慮型住宅ローンや空き家関連ローンなど、時代のニーズに応じて変化中

(写真/PIXTA)

これからの金利の動向が気になる住宅ローンだが、住宅金融支援機構が金融機関に対して、ローンへの取組姿勢などを調査した「住宅ローン貸出動向調査」の最新結果を公表した。金融機関では、住宅ローンについてどんな取り組みをしようと考えているのだろうか?詳しく見ていこう。
【今週の住活トピック】
「2023年度 住宅ローン貸出動向調査」を公表/住宅金融支援機構

金融機関の7割以上が今後も新規の住宅ローンに積極的に取り組む

住宅金融支援機構の調査に回答したのは、都市銀行・信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫などの301機関で、2023年7月~9月に調査を実施した。

新規の住宅ローンへの取組姿勢は、「積極的」という回答が「現状」でも72.1%、「今後」でも同じ72.1%となり、積極的な姿勢に変化はないようだ。積極的に取り組む方策としては、「商品力強化」が63.0%と最多で、2番目の「金利優遇拡充」の41.2%を大きく引き離す形となった。

環境配慮型住宅ローンの取り扱い状況は?

近年は、環境意識の高まりやエネルギー価格の高騰で、エネルギーの消費量を抑える住宅への関心が高まっている。加えて、金融機関でも、SDGsなどの時代の要請を受けて、環境配慮型住宅ローンに取り組む姿勢を見せたいところだろう。

今回の調査で、「環境配慮型住宅ローンの取り扱いの有無」を聞いたところ、「取り扱っている」が32.9%、「取り扱いを検討中」が8.3%となり、いずれも前回より増加した。やはり、取り組む金融機関が増えているようだ。

出典/住宅金融支援機構「2023年度 住宅ローン貸出動向調査」

出典/住宅金融支援機構「2023年度 住宅ローン貸出動向調査」

では、どんな「環境配慮型住宅ローン」を提供しているのだろう?

環境配慮型住宅ローンに特に定義はないので、金融機関が同じ名称を使っていても、その内容は金融機関ごとで異なる。調査結果で見ると、「太陽光発電設備、高効率給湯器 、家庭用蓄電池等の省エネ設備を備えた住宅」が75.8%と最多となっている。

出典/住宅金融支援機構「2023年度 住宅ローン貸出動向調査」

出典/住宅金融支援機構「2023年度 住宅ローン貸出動向調査」

住宅で使用するエネルギーを抑えるには、第一に、住宅そのものの断熱性能を高める必要がある。外の暑さ寒さに影響を受けにくいようにするためだ。第二に、エネルギーを大量に消費する給湯器やエアコンなどを省エネ性能が高いものにする必要がある。消費するエネルギーを抑制するためだ。第三に、太陽光発電などでエネルギーを生み出す設備や、発電した電気を蓄える設備を設置する必要がある。住宅で使った電気などを、発電した電気でカバーするためだ。

すべてをそろえて、消費するエネルギーをプラスマイナスゼロ以下にする住宅が、ZEH住宅(=ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)だ。すべてをそろえるには費用もかかるので、ハードルが高くなる。また、なかでも高額な設備となるのが、太陽光発電設備だ。

環境配慮型住宅ローンとしては、まず、こうした高額な設備を搭載した住宅を対象に、ローンの優遇をしようという金融機関が多いのが実態のようだ。2番目に多いZEH住宅を対象とするのは、45.5%と半数に満たないが、前回より大幅に増加している。政府がZEH住宅を増やしたいと考えていることを受けてのことだろう。

では、こうした住宅についてどんなローン優遇が受けられるのか?
調査結果を見ると、「金利引き下げ」が90.9%で大半となっている。ZEH住宅や太陽光発電設備・蓄電池などを搭載した住宅、地域木材を利用した住宅、長期優良住宅や低炭素住宅の認定住宅の場合などで、ローンの金利引き下げをする商品が多いということだろう。

具体的な環境配慮型住宅ローンの事例は?

具体的な住宅ローンを見ていこう。
例えば、りそな銀行では環境等配慮型住宅向けの特別金利プラン(名称:SX金利プラン)」を提供している。ZEH住宅、太陽光発電設備設置住宅、長期優良住宅、低炭素住宅、国産木材を一定割合以上使用している住宅、安心R住宅と、かなり幅広く対象としている。どの金利タイプを利用するかでも異なるが、原則、適用金利から0.01%引き下げる。

また、千葉銀行では「サステナ住宅応援割!」(2024年9月30日まで)を展開している。ZEH水準(発電設備等が必須ではない)以上の住宅や低炭素住宅・長期優良住宅などに加え、太陽光発電設備搭載の住宅、免震装置付き住宅を対象にしている。優遇については、適用金利から0.05%引き下げのほか、全傷病団信の上乗せ金利を0.2%優遇、または自然災害時支援特約を付帯するための金利上乗せ分を0.1%引き下げの3つから1つを選ぶ形となっている。

滋賀銀行の「スーパー住宅ローン未来よし」では、太陽光発電、蓄電池、エネファームのいずれかを新たに設置する一戸建てに対して、適用金利から0.05%引き下げる。これは、創エネ・畜エネ設備費用(想定金額300万円)の金利負担を実質ゼロにする想定なのだという。また、マンションでは省エネルギー性能表示制度「BELS(ベルス)」で★3つ以上および同等基準を満たすものも対象とする。

ほかにも、名称はさまざまだが、地球環境に配慮した住宅に対する優遇措置を取っている事例が多数ある。

空き家に関連するローンの取り扱い状況は?

近年は、空き家の増加が懸念されている。金融機関が、空き家解消のために利用できるローン(空き家関連ローン)を取り扱う事例も増えている。調査結果を見ると、ほぼ半数が取り扱う(「取り扱っている48.8%」「取り扱いを検討中」3.3%)と回答している。

資金使途を具体的に見ると、「空き家解体」が93.9%とかなり多く、次いで「空き家活用(リフォーム)」の44.2%、「空き家活用(取得+リフォーム)」の25.2%となった。

出典/住宅金融支援機構「2023年度 住宅ローン貸出動向調査」

出典/住宅金融支援機構「2023年度 住宅ローン貸出動向調査」

こちらも具体的な事例を見ていこう。
岩手銀行では、「空き家活用・解体ローン」を提供している。空き家を賃貸するための改修や空き家の解体、解体後の土地の造成や各種設備の設置、空き家の防災・防犯対策などに利用できる。借入額は10万円以上1000万円以内、借入期間は6カ月以上10年以内(1カ月単位)、変動金利で2.5%(提携市町村であれば0.5%引き下げ)などとなっている。

住宅ローンについては、最も気になるのが適用される金利だろうが、各金融機関がそれぞれに特徴のあるローンを用意している。その品ぞろえは、時代のニーズによっても変わるので、環境に配慮した住宅などについては、できるだけ多くの情報を集めたうえで選ぶようにしたい。長期間返済するローンであるだけに、後で知らなかったということのないようにしたいものだ。

※ローンの具体事例の内容については、いずれも執筆時時点(2024/3/1)の情報による

引用元: suumo.jp/journal

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