リニューアルしたハザードマップがかなり使いやすい!実際の使用感を解説

外出先でもハザードマップがすぐわかる!?ポータルサイトのリニューアルを解説

(写真/PIXTA)

災害のリスクを知るには「ハザードマップ」を見る! このことは、かなり一般に浸透していると思う。実はこの国土交通省のハザードマップポータルサイトが、新しい機能を追加してバージョンアップした。最新のハザードマップは、スマホの位置情報からその場所の災害リスク等を探せたり、音声でリスクの程度を読み上げたりするようになった。
【今週の住活トピック】
ハザードマップポータルサイト のリニューアルについて/国土交通省

「わかる・伝わる」ハザードマップへとリニューアル

国土地理院は、「ハザードマップ」を「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」と定義している。ハザードマップには、「地震」「火山」「土砂災害」「洪水」「内水※」「高潮」「津波」などの種類がある。この中でも、「洪水」「内水」「高潮」「津波」のハザードマップを総称して、水害ハザードマップと呼んでいる。
※大雨によって下水道などの排水能力を超えた場合の浸水被害

ハザートマップは、平常時に自宅などの場所の災害リスクについて把握し、災害に対する備えや避難場所などについて理解することが第一の目的だ。加えて第二の目的が、実際に災害リスクにさらされたときに対処できることにある。ところが、実際に災害リスクにさらされるのは、事前に情報を把握していた自宅などの場所に限らない。

「ハザードマップポータルサイト」の今回のリニューアルによって、TOP画面で「住所」や「現在地」を入力するとハザートマップがすぐに検索できるようになった。これなら、仕事や観光などで地縁のない場所に行っていた時に、洪水のリスクが高いとなったときでもすぐに情報を把握できるようになる。

実際に最新のポータルサイトで「わが家」のスマホの位置情報で試すと、すぐにハザードマップが表示された。次に、住所欄に「国土交通省」と入力して見ると、同様に国土交通省の所在地を示したハザードアップが検索できた。国土交通省の所在地では特にリスクはないようだ。災害のうち「洪水」を選んで調べると、周辺で浸水リスクのあるエリアが色別に表示された。近くの「日比谷公園」の場所をクリックすると「洪水によって想定される浸水深:0.5メートル未満」と文字が表示され、音声が流れた。

さらに、情報の中から「指定緊急避難場所」を選ぶと、その場所が地図上に表示された。洪水で避難するなら、浸水リスクエリアを超える避難場所(泰明小学校)よりも虎ノ門方面の避難場所(虎ノ門いきいきプラザ)のほうがよさそうだ。なお、避難場所は災害によって異なるので、災害種別を変えると表示される避難場所も増減する。

ハザードマップポータルサイト

住所欄に国土交通省と入力すると、ハザードマップが表示され、国土交通省の所在場所に危険性が想定されていない旨のテキストボックスが現れる。災害種別で「洪水」を選ぶと浸水が想定される色の帯と凡例が表示された(【1】)
「指定緊急避難場所」のうち「洪水」の避難場所を選ぶと緑色のピクトグラムが表示された(【2】)。それぞれをクリックすると具体的な建物名などが表示された。※丸印や直線は筆者が加えたもの

ハザードマップポータルサイト

【1】の画面で「千代田区のハザードマップを見る」をクリックすると千代田区のデータに遷移した(【3】)。【1】の画面で「災害種別で選択」や「すべての情報から選択」を開く(+をクリック)と欲しい情報を選ぶことができる(【4】)

ハザードマップポータルサイト

【5】ポップアップの背景色で示される詳細情報の例。災害リスクの程度に応じて、ポップアップの背景色が変化する。白、黄色、橙色、桃色、赤色の順に災害リスクが高くなる(出典:「ハザードマップサイト」の新機能の紹介より)

もちろんスマホやパソコンが利用できる通信環境にある場合に限られるが、これを使えば出先にいるときに万一のことがあっても、すぐ情報にたどりつけそうだ。

ハザートマップはリニューアルを繰り返して進化

国土交通省のハザードマップポータルサイトがオープンしたのは、2007年のこと。ハザードマップは本来、市町村が作成して住民に配布するものだが、いざというときに探せるようにと、市町村の情報を集約したことに始まる。以降もリニューアルを重ねてきた。

市町村ごとのマップだけでは、実は隣の市町村に逃げた方が適切という場合に分からない、河川の氾濫状況を広域で見られないといった課題があった。さらに、避難所の場所を探してそこを目指したら道路が冠水していたといったことも。こうした課題を解決するために提供した「重ねるハザードマップ」では、日本地図上で災害リスクを把握できるようにし、複数の災害リスク(「洪水浸水想定区域」と「道路冠水想定箇所」など)を重ねて表示できるようになった。

ほかにも、自治体によって凡例の区切り方や色分けが異なっていたものを統一したり、災害の種類を一目でわかる図記号 (ピクトグラム)から選択できるようにしたりと、さまざまなリニューアルを行ってきた。

今回は、あらゆる人が避難行動に必要なハザードマップ情報を活用できるように、「ユニバーサルデザイン」の観点からリニューアルを実施している。例えば、専門用語を読み込まないとリスクの程度が理解できないということのないように、「その場所の災害リスクや避難行動のポイント」について絞り込んだ解説がすぐに表示されるようになっている。複数の浸水リスクが該当する場合は、浸水深が最も大きくなる災害種別に絞って表示され、情報が多く出ることで見る人が混乱することを避ける形になっている。

また、目が不自由な人でも音声読み上げソフトを使うことで、ポイントが読み上げられるようになった。

なお、この情報がすべてではないので、自治体(国土交通省の例でいえば千代田区)のハザードマップを確認することを国土交通省では促している。

さて、災害リスクを感じてあわててスマホを取り出しても、使い方に慣れるまでに時間もかかるだろう。まずは、あらかじめハザードマップポータルサイトを使ってみて、どういった情報が得られるのかだけでも把握しておくべきだ。

ハザードマップには、ほかにも機能がいろいろあるが、自治体によってその内容は異なる。自宅や職場など自分の居場所として多い場所については、該当する自治体のハザードマップを事前に読み込んでおくことをお勧めする。自分の居場所の災害リスクを知ることに加え、避難施設や避難経路などの情報が掲載されているほか、防災に関する学習コーナーがあるなど、役立つ情報が多いからだ。災害への対応は、事前の備えがカギになることを肝に銘じておきたい。

引用元: suumo.jp/journal