2023年住まいのトレンドワードは「平屋回帰」!流行は”コンパ…

2023年住まいのトレンドワードは「平屋回帰」!流行は"コンパクト”で”高コスパ”な平屋暮らし

(画像/PIXTA)

近年リクルートでは、さまざまな分野の「トレンド予測」を発表しているが、2023年においては、リクルートの住まい領域の調査研究機関である「SUUMOリサーチセンター」がトレンドを発表した。それによると、トレンドを予測するキーワードは「平屋回帰」だという。
【今週の住活トピック】
「SUUMOトレンド発表2023」/SUUMOリサーチセンター

トレンド予測の背景には「都度最適」の兆しあり!

たしかに都心部の一戸建てでは、狭い敷地に2階建てどころか3階建ての一戸建てが隙間なく並ぶ姿を見ることが多い。しかし、今でも地方に行けば、平屋の一戸建てはたくさんある。地価が高くない地域であれば、広い敷地を活かして、階段の上り下りをせずに済む平屋の一戸建てにすることが多い。

だから筆者は、なぜ今「平屋回帰」なのか?と思った。トレンドワードを発表したSUUMOリサーチセンター研究員の笠松美香さんによると、「自身の変化に合わせてその都度、最適な住まいを選ぶ『都度最適』」の時代になっていくのだという。

どういうことかというと、かつては子育てを踏まえて生涯住む前提で住まいを選んでいたので、部屋数や収納が多い一戸建てを求めていた。ところが今は、単身や夫婦二人世帯、一人親世帯、高齢者世帯など世帯が多様化し、長い人生で仕事や家族の状況の変化も激しくなり、生涯の暮らしを想定することが難しくなっている。

一方で、家具や衣類などをフリマで買って一定期間利用したらまたフリマで売ったり、CDやDVDを買うのではなく、デジタルでサブスクを利用して楽しんだりといったことが当たり前になっている。所有するより利用することに価値が置かれ、モノを多く持たない若者も増えている。そこで、“モノを持たないミニマムな暮らし”が注目されている。

こうした背景が「都度最適」な住まい選びにつながり、平屋が選ばれるようになっているのだという。

平屋の検討率は年々上昇を続け、全国で2割弱に

平屋ニーズが拡大していることは、調査結果にも表れている。リクルートの注文住宅動向調査で、調査のたびに上昇しているのが「平屋の住宅」の検討率だ。2018年の12.4%から2022年には17.9%にまで伸びている。この調査は、全国で1年以内に一戸建てを建築した人に調査しており、居住地に偏りがでないように集計した結果なので、都市圏・地方圏問わず、平屋の検討者が増えていることがうかがえる。

Q.住宅のテーマについて、検討したものがあれば以下の中から全てお選びください。
※回答選択肢 33 項目から上位 10 項目を抜粋

Q.住宅のテーマについて、検討したものがあれば以下の中から全てお選びください。

「SUUMOトレンド発表2023」プレスリリースより転載

平屋ならではのメリットもいろいろある

平屋ならではのメリットもある。リクルートが注文住宅で平屋を建てた人にアンケートを実施したところ、平屋を建てた理由で8割に達したのが「ワンフロアで生活できる」便利さだった。

■平屋を建てた理由
1位 ワンフロアで生活ができるから 80.7 %
2位 将来も安心だと思ったから 53.3 %
3位 家事がしやすいから 44.7 %
4位 家族とつながりやすいから 29.3 %
5位 地震に強いから 25.3 %

ワンフロアなら、階段を上り下りする必要がなく、移動する動線も短くなる。動線が短いので、家事が楽になり、家族の物理的な距離も縮まる。こうしたことから、3位の「家事がしやすい」や4位の「家族とつながりやすい」も関連して上位に挙がるのだろう。また、2位の「将来も安心」というのは、おそらく高齢期になったときにワンフロアで生活できるからという理由が大きいのではないか。

5位の「地震に強い」というのは、理由が分からない人もいるかもしれない。一般的に建物は、重いほど大きく揺れる。また、高いほど揺れの影響を大きく受ける。平屋は2階部分がないだけ軽くなり、低くなるので、耐震性を確保しやすい。加えて、建物の形状が四角形などシンプルになる点も、耐震性を確保しやすいことにつながる。

だからといって、平屋は耐震性が高く、2階建てや3階建ては耐震性が低い、というわけではない。平屋でも現行の耐震基準を満たしていない、瓦ぶきの屋根の重い一戸建ては耐震性が劣るし、耐震基準以上に頑丈に建てていれば2階建てでも耐震性は高くなる。耐震性が確保しやすいことと、耐震性が高いことは必ずしもイコールではない。

ブームになりつつある「コンパクト平屋」とは?

SUUMOリサーチセンターが指摘する「都度最適」から求められる平屋は、かつて多かった豪華な邸宅や地方の大きな一戸建てなどではない。ローコストで性能の良い「コンパクトな平屋」や「タイニーハウス」と呼ばれる小屋のようなサイズの平屋が求められているという。

平屋の特徴について

「SUUMOトレンド発表2023」発表会用資料より転載

コンパクト平屋であれば、広さが狭いこともあって、ローコストで耐震性や省エネ性を高めることも可能だ。また、タイニーハウスは、最近では無印良品の小屋のほか、コンテナハウスやトレーラーハウスなどさまざまな小屋状の商品が売られるようになっている。

もちろん小さいサイズの家なので、住むのは1人あるいは2人。生活拠点として住む場合もあれば、セカンドハウスとして使う場合もあるだろう。

こうしたものを求める人たちには特徴がある。リクルートの調査によると、コンパクトでローコストな平屋に興味がある人は、「時間・心のゆとり」や「健康的な暮らし」への関心が高く、エリアについても安全で、物価などが安いエリアを好む傾向が見られる。

また、タイニーハウスに興味がある人は、「モノを持たないシンプルな暮らし」や「自然に囲まれた暮らし」への関心が高く、エリアについても「自然が豊富なエリア」を好み、二拠点やさまざまな場所で暮らす「多拠点生活」志向が見られる。

よのなか調査(生活者編)2022年 リクルート調べ

「SUUMOトレンド発表2023」発表会用資料より転載

こんな現代版の平屋に回帰する!?

最後に、現代版のコンパクト平屋のパターンを3つ挙げているので、紹介しよう。
「新築 高コスパ平屋」「リユース平屋」「サードプレイス平屋」だ。

現代版のコンパクト平屋のパターンを3つ

「SUUMOトレンド発表2023」発表会用資料より転載

当初はなぜ平屋なのかと思ったが、笠松さんの説明を聞けば、新しい平屋スタイルを求めていることが分かった。そこには、新しい生活スタイルや合理的な判断に裏付けられた、現代風の住まい選びがあった。

引用元: suumo.jp/journal