そんななか、マンハッタンの高所得者が多く住むアッパーウエストサイド地区で建設が進められている新築物件をのぞいてみる機会がありました。ニューヨークの高級アパートメント(日本でいう高級マンション)での暮らしってどんな感じなのでしょうか?「4億円超」の新築物件を特別に内見させてもらいました 。
国内外から注目されている高級エリアの新規物件
高級エリアであるアッパーウェストサイド地区は、ニューヨークの中でも比較的治安が良いとされています。同地区は、コロンビア大学やアメリカ自然史博物館があるなど文化的施設に恵まれ、落ち着いた雰囲気です。
今回内見に来たブティックビルディング「212 West 93rd Street」は93丁目で現在建設が進められていて、最寄りの地下鉄駅から徒歩1分。セントラルパークやリバーサイドパークまで数ブロック。もし近くに住んだら毎朝早起きして、それらの公園にジョギングや犬の散歩をしに行ってみたい、そんな想像が膨らみます。
また、近所には日本食レストランや人気スーパー、Trader Joe’sやWhole Foods Marketなどもあり、都心から地下鉄で15分と少し離れた落ち着いた生活、楽しく充実したニューヨーク生活が送れそうです。
「212 West 93rd Street」は14階建てで、中には20のコンドミニアム(20家族分の住居)があります。
ロビーには24時間ドアマンが常駐し、ペット可の物件です。犬や猫はニューヨーカーに大変人気なので、大切なポイントでしょう。またほかにもこの物件の「あるポイント」が高く評価され、現在多くの問い合わせが国内外からきているということです。
コロナ禍で専用エレベーターや屋外テラスへの需要高まる
「コロナ禍を乗り切りパンデミックから何とか抜け出そうとしているニューヨークではこの数カ月、高級不動産物件の需要が非常に高まり、市場は再び活気に満ちています」と説明するのは、ヘンリー・ハーシュコウィッツさん。この物件の独占販売およびマーケティングエージェントをしている米大手不動産情報サイト「Compass」の不動産ブローカーです。
「物件購入者は新たな優先順位を設けて物件を探しています。この5階にある5Bのコンドミニアムのような、専用エレベーターや屋外テラスが完備した物件です」とハーシュコウィッツさん。これらはコロナ以前は「贅沢なプラスアルファ」だったのが、パンデミックで『必要なもの』という評価が付くようになったそうです。一時はロックダウンしたニューヨーク。感染拡大防止のため、密を避けソーシャルディスタンスが求められる中、そのようなプライベートが守られた自分専用のエレベーターやテラス、バックヤードなど専用の「屋外スペース」の需要が高まっているとのことです。
さっそく、5Bの物件を見せてもらいました。
5Bは、2048スクエアフィート(約190平米)の面積に、4ベッドルーム(寝室)、3バスルーム(浴室とトイレ)、リビング兼ダイニングルーム、キッチンエリアなどが完備されています。
ロビーから専用エレベーターに乗ると、5階の5Bで止まりました。専用エレベーターと言えば、フロア直結のタイプや住居直結のタイプなどがありますが、この物件の5Bのタイプはエレベーターと居住スペースが直結していて、扉が開くと目の前に「ギャラリー」と呼ばれる、広くて長いスペースが広がります。壁にお気に入りのアートを飾ると、お招きしたゲストに鑑賞してもらいながら奥のリビングルームにご案内できる素敵なウェルカムスペースとして活躍しそうです。
リビング兼ダイニングルームや、それぞれのベッドルームは自然光で明るく、天井も高く広々とした印象です。大きなカウチやキングサイズのベッドを置いてもゆとりがあるスペースで、「おうち時間」をゆっくりくつろげそうです。
以下の写真が、コロナ禍で需要が伸びている、リビング兼ダイニングルームに隣接したテラススペースです。このビルの70%のコンドミニアムに、このような広々とした屋外テラスが完備されています。「中には、平均的なマンハッタンのスタジオアパートよりも広いテラスもありますよ」とハーシュコウィッツさん。
また、このような屋外テラス付き物件はマンハッタンではそれほど多くないということ。確かに街中を見て回っても、自分の住宅にテラスやベランダがあるのは「ほんの一部の特別な物件」ということがわかります 。
5Bの気になるお値段ですが、販売価格は419万5000ドル(約4億8000万円超)。これに加えて3288ドル(約33万円)の共益費と3148ドル(約32万円)の税金が毎月かかります。共益費はドアマンや共有部の清掃、光熱費などで、この物件だけが特別なわけではなく、ニューヨークの高級物件を購入した場合は通常これくらいになります(支払い方法は、契約内容次第)。
ピンからキリまでさまざまな物件があるニューヨークでは数億円単位の物件は決して珍しくありませんが、その中でもこのビルは、(設備や周りの環境も含めた)物件自体の価値を総合的に判断すると、かなりラグジュアリーな物件と言えるでしょう。
また5Bの隣のユニット、5Aも同様に専用エレベーターがついています。
1562スクエアフィート(約145平米)の面積に、3ベッドルーム(寝室)、2.5バスルーム(浴室とトイレ)、リビングルーム、ダイニングルーム、キッチンエリアなどが完備されています。
5Aの購入価格は290万ドル(約3億3000万円超)。こちらの物件にも共益費と税金が毎月かかります。
そのほか、ビル内に住民専用のスポーツジム、キッズルーム、ロッカーや倉庫スペースなども完備されています。ビル自体は2020年に工事がスタートし、今年の第1クオーター(1~3月)にすべての共有部分が完成予定です。
お問い合わせは、プライベートをより重視した人、中心地ではなく少し離れた落ち着いた環境をお求めになられている高所得者層の人(国内、国外)からあるようです。内見を終え、コロナ以降もこのようなプライベート空間が充実したアパートの需要が高まっていくと思いました。
212 West 93rd Street
※記事中の部屋情報
#5B – 212 West 93rd Street
$4,195,000
8 rooms, 4 beds 3 baths
約190平米
#5A – 212 West 93rd Street
$2,900,000
6 rooms, 3 beds 2 baths, 1 half bath
約145平米