「平成30年度における住宅市場動向について」を公表/住宅金融支援機構
ファイナンシャルプランナーの「買い時」は64.5%で、一般消費者の50.6%を上回る
まず、マネーのプロである「ファイナンシャルプランナー(セミナー等の同機構業務協力者62名)」の買い時感を見てみよう。
「平成30年度は29年度と比べて買い時か」を聞くと、「買い時」(64.5%)、「どちらとも言えない」(27.4%)、「買い時ではない」(8.1%)になり、買い時との回答が最多となった。住宅取得を検討中の消費者に「これから1年(平成30年4月~平成31年3月)は買い時と思うか」を聞いており、「買い時」の回答は50.6%だったので、これを上回る結果となった。
前年同時期の調査と比べると、「どちらとも言えない」が増加(20.7%→27.4%)しているが、「買い時」(67.2%→64.5%)と「買い時ではない」(12.1%→8.1%)はともに減少している。特に「買い時ではない」という回答は実数では5人だけという結果だった。
買い時の要因は、第1に住宅ローンの低金利、第2に消費税率引き上げの駆け込み
では、「買い時」と思う要因について見ていこう。
ファイナンシャルプランナーが「買い時」と思う要因として第1に挙げたのは、超がつくほどの「住宅ローンの低金利」(85.0%)だ。次いで平成31年10月に予定されている「消費税率引き上げ」(62.5%)だ。この2つの要因は、前年の前回調査より大幅に増加している。
減少はしたものの、3番目に多い「金利先高感」(45.0%)の要因も見逃せない。景気は不透明であるが、先々の金利上昇懸念があるので、今の超低金利を活用できる平成30年度は買い時と考えるファイナンシャルプランナーが多いということだろう。
なお、大半の住宅ローンでは適用される金利は「融資実行時」だ。つまり、契約した後、融資を受けて住宅の代金をすべて支払う時点の金利が適用される。契約時と融資実行時では月をまたいだり、新築住宅の場合に数カ月や数年先になったりする場合もある。したがって、融資実行時の金利が、購入を思い立ったときの金利より高くなっている可能性もあるという背景があるわけだ。
また、引き上げ延期を繰り返した消費税率10%についても、駆け込み効果があると見ている。
消費税が課税されるのは、住宅の「引き渡し時」だ。住宅については、半年前の前日(平成31年3月31日)までに契約したものについては、引き渡しが10月1日以降になったとしても、8%の税率が適用されるという経過措置がある。つまり、平成31年3月末までに契約をしようという動きが起きるのが「駆け込み」だ。
過去に消費税率が引き上げられたときにも、一定の駆け込み行為が見られたので、今回も駆け込み効果があると見ているのだろう。
ちなみにこの調査では、住宅事業者(【フラット35】の利用があった733事業者)に、「平成30年度の受注・販売等の見込みは29年度と比べて増えるか?」を聞いている。「増加する見込み」という回答は59.4%だったが、増加する要因として第1に挙がったのは「消費税率引き上げ前の駆け込み効果」(64.3%)だった。
住宅事業者は、消費税増税の駆け込み需要に期待する傾向もうかがえるが、筆者としては、ファイナンシャルプランナーが買い時要因として、消費税より低金利を多く挙げた点に注目したい。
金利は35年などの長期間にわたって多額の元金にかかってくるので、影響が非常に大きい。一方、消費税は住宅価格全体に課税されるのではなく、建物価格のみにかかる(土地は非課税)。また、「個人」が売主の中古住宅の売買には、消費税は課税されない。引き上げられる2%の影響が具体的にどの程度になるのか、試算するなどしてきちんと把握し、安易に「駆け込む」ことのないようにしてほしいと思う。
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